日本酒の冷と一緒に。
石川(加賀)の郷土料理「かぶら寿し」は、なんとブリ(鰤)をかぶで挟んだものと知って驚きました。ブリとかぶですか…。両方好きだけど、さすがにその組み合わせは大胆と思う。“寿し”と名がついてはいるが、しゃりは登場せず、米糀(こうじ)で漬け込み熟成させたお漬物なのだそうな。それを買い求めた錢福屋さんのパンフレットによると、石川県が加賀と呼ばれた時代に、武家に出入りをしていた魚屋さんが、得意先への正月の進物用に考えたのが始まりと言われているそうな。直径10cm程のいびつな丸い形をしており値段は約550円(100g当たり)。食べてみると、カブ独特のしっかりした味わいとブリのやわらかな風味が重なりおもしろい。やや甘口の日本酒の冷と一緒に頂くのがいい感じ。かぶの上には人参の細切りが載せられている。醤油を少しつけて食べる方がいいかしら。冬の魚のブリといい、かぶといい、そしてこの味わいといい、冬場の保存食として根付いたような気もします。是非日本酒の冷と一緒に。
■株式会社錢福屋
・石川県白山市倉部町200・TEL 076-275-5931 |
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加賀の越冬料理。
加賀の郷土料理「かぶら寿し」の横に並んだ見慣れぬ料理が気になった。サバのような青魚と大根を混ぜ合わせたように見えるが、はたして何であろうか…。どうやらこちらも加賀の郷土料理で名を「大根寿し」というらしい。僕の前に注文していた若い女性は、それをなんと1キロも買っていた。その注文量を聞いたお店のおかあさんはなぜか「あの、これ食べたことあるぅ?」とわざわざ確認するのを見て、ちょっと癖のある料理ということが分かった。(笑)1キロは一度に注文する量ではないらしい。しかしその女性は頻繁に食べているらしく大好きであることも伝えていた。僕はわずか100gを買った。家に持ち帰り蓋を取ると、ツンとした臭いが鼻を刺激した。食べてみるとまったりとした酸味と捉えどころのない微妙な甘味が口の中に広がる。うーん…、予想していたよりもかなり癖がある。ビールをやめて、日本酒の冷にスイッチ。これは日本酒が合うわぁ。それ程量は進まなく少量で十分に満たされる味わい。サバかと思った魚は、実はニシン。お店のパンフレットによると、そのニシンと大根や、昆布、人参、唐辛子を糀に漬け込み熟成させた加賀地方の郷土料理らしい。いやはや、またまた強烈な料理に出会いました。日本の郷土料理は奥が深いっすねー。
■株式会社錢福屋
・石川県白山市倉部町200・TEL 076-275-5931 |
行列ができる店の海鮮丼。
行列もできると聞いた金沢は近江町市場内の「井ノ弥」で海鮮丼を食べることにした。昼は噂どおり行列ができていたが、夜覗くと一席だけ、ポツンと空いていた。まるで僕のために待ってくれていたかのようだ。嬉しい…。店内を見回すとカウンターも畳の小上がりもお客さんでびっちり。席に座り、然程迷うことなく、ちらし近江町と名付けられた海鮮丼(1,100円)を注文した。待ちに待った海鮮丼は、これでもかと沢山の魚がドサドサのっていた。魚好きにはたまらない絵。どのネタも、ものすごく美味しそう。醤油ではなく(醤油はなかったと思う)特性のタレをまんべんなくかけペロリペロリと食べていく。1,100円でこれだけたくさんの魚を食べられるのは魚好きにはたまらなく幸せなこと。
■近江町 井ノ弥
・石川県金沢市上近江町33-1・TEL 076-222-0818・近江町市場内。 |
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トロトロの新しい味。
金沢は魚はもちろん、うどんも美味しいことを小耳にはさみ近江町市場近くにある、うどんとそば屋の「加登長総本店」に入ってみた。暑い中を歩いて来たので、まずはキンと冷えた瓶ビールで咽を豪快に潤し、ビールグラスで二杯分を立て続けに胃に流し込んだ後、アツアツのあんかけうどんという珍しいトロトロのうどんを頂いた。やわらかい中太丸麺で食べ応えがある。スープのあんかけの独特の風味が強く、全く新しい食べ物に感じた。初めての料理なので他と比較はできないけど、味としてはなかなか。妻が頼んだ定食についていた加賀の郷土料理の治部煮(じぶに)と呼ばれるやわやわとした鶏肉料理も美味しくて、かなり印象に残った。最後にビールを飲み干し、店の外に出ると真夏の陽気に迎えられ、滝のように汗が噴き出すのでした。
■加登長総本店
・石川県金沢市下近江町42・TEL 076-221-0435・近江町市場から徒歩約5分。 |