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1:銀山温泉 小関館の湯
2:そば街道 たか橋
3:白銀の滝とせことい橋
4:名物 立ち食い豆腐 |
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>>詳細地図(MapFanリンク) |
[アクセス] |
●JR大宮駅→(東北新幹線つばさ:約3時間)→JR大石田駅→(銀山温泉行きバス:約40分)→銀座温泉
●JR大石多駅→(タクシー:約15分)→そば街道 |
[関連サイト] |
■山形への旅
山形観光情報総合サイト
■銀山温泉
銀山温泉組合公式サイト
■銀山荘
入浴だけも可能。露天風呂、寝湯が楽しめる。(小関館は銀山荘の本館) |
[旅行手配内容] |
●新幹線(JR緑の窓口):約28,000円(全費用) |
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朝の6時50分。大宮駅のホームのベンチで二杯目のコーヒーを飲み終えた頃、顔をツンと、とがらせた山形・新庄行きのつばさ101号がスーッと目の前に入ってきた。窓側の指定席に座るが隣の席は空いたまま。ラッキー!大宮駅を出たつばさ101号は、繁華街を抜け緑の田園が広がる風景をまっしぐらに突き進む。田植えが終わった後らしく、田んぼには水がはられ朝の光でキラキラ輝いている。
今日は火曜日。もちろん平日。行き先は、テレビで何度と見かけた人気の温泉地「銀山温泉」。温泉は好きなのだが、人気の温泉地となると混んでいるのがどーも苦手。お風呂はもちろん、脱衣所が混んでいるのもあまり好きじゃない。それだけで快適さからうんと遠ざかるからだ。仕事に区切りがつき、この日しかない!と勝手に決めつけ強行した。山形だとゆっくり日帰りができる距離ということも分かった。
トンネルを出たり入ったりしながら郡山を過ぎ、福島駅に着いた。まだ少し雪が残る雄大な吾妻山の山並が大きな窓に映る。米沢を過ぎ、赤湯、上山温泉、山形、天童を過ぎると1車両にたった一人になった。平日はこんなにも空いているのかとすこぶる驚いた。大宮を出て約3時間後に、銀山温泉の最寄り駅「大石田」に着いた。
大石田駅を出ると、朝の東京よりも少しひんやりした空気を感じた。目の前にタクシーが数台列を作っていたが、予定通りバスで行くことにした。改札と反対側のターミナルに退屈そうな運転手1人だけが乗ったバスが静かに待っていた。出発時刻直前に杖をついたおばあちゃんが「よいっしょっ!」。僕とおばあちゃんの二人を乗せバスはゆっくり走り出した。
バス停で停まるたびにおじいちゃんとおばあちゃんが次々乗ってくる。そこそこ顔見知りの方同士らしくバスの中は、いろんな話し声が飛び交うが、見事に理解できなかった。東京から新幹線で3時間程の場所なのに、これほど分からないとは…。視界いっぱいに田園風景が広がるのどかな道をバスは走り続ける。そしてさっきとは反対にバス停で停まるたびに人が降りていく。銀山温泉で降りる頃にはまた一人になっていた…。
銀山温泉のバス停で降りると、真夏のような陽気に包まれた。温泉街へ向け坂道をてくてく下る。「こんにちは〜!」浴衣を着た観光客の女性三人とすれ違う。ちょうどお昼頃だが、すでに温泉を楽しんだ後のようだ。白銀橋と書かれた小さな橋を渡ると、銀山川を挟んだ両側に大正時代に建て替えられたと言われる重層な建物が軒を連ねる温泉街が現れた。これは、すごい…。滝平二郎の力強くも繊細な切り絵の世界を想い起こさせる。昼も美しいが、ガス灯が灯る夕景は、またいいらしい。テレビドラマ「おしん」の舞台でも有名な場所。硫黄の匂いがぷ〜んと鼻を刺激する。
温泉街の先、小さな橋を渡った所にある「はいからさん通り」で名物らしいカリーパンを食べた。食べてる途中でカレーパンなら東京でもいつでも食べられることに気づいた。しまった…。(笑)その先に高さ約22mの水が豪快に流れ落ちる白銀の滝が見える。そこから上流に続く渓谷「洗心峡」が美しく広がる。洗心峡を快適に見ながら歩ける遊歩道から入った所には銀山鉱洞がある。約500年前ににぎわったと伝えられている銀山鉱洞の坑内をしばし見学。
再び温泉街へ戻り入浴だけできる宿をぶらぶら探す。「小関館」の入口に、休憩ご一行様と書かれた看板を発見。
「ごめんくださ〜い」
中へ入り宿の人を探す。玄関のすぐ近くにある厨房で食事の支度をしていたおかあさんに入浴だけでもいいか念のため確認すると
「はい、どうぞ〜」
と元気な声でお風呂まで案内してくれた。
お風呂場を覗くと、誰もいない。お湯はなぜか青く色づき、高い位置に取り付けられた窓からうららかな陽射しが差し込んでいる。シャワーの蛇口をひねると、おもいっきり硫黄の匂いがプンプンするお湯が出てきた。いいね〜。誰もいない湯船にちゃぷんと浸かる。あぁ〜こりゃさいこー!硫黄の匂いがたまらなくいい。しみじみ感動した。窓の外から、銀山川のせせらぎの大きな音が聞こえてくる。平日に来て大正解だ。
激しくさっぱりした後、足湯の背後にある野川豆腐さんの名物「立ち食い豆腐」を買い、2軒隣のみやげ屋でビールを買った。足湯のそばのベンチに腰掛け、温泉街を見ながら飲んで食った。うまい…。風呂の後のビールもいいが、ここの豆腐がとびきり旨かった。醤油の味が絶妙に染みており、口の中でつるんと、とろける…。
銀山温泉街を後にし、バス停へ向かった。まだ少し時間があったのでバス停近くにある銀山荘で露天風呂と檜の寝湯を楽しんだ。ここでも温泉を独り占めだった。天国のようだ…。まさかと思ったが大石田駅へ向かうバスも最後まで一人だった。
大石田駅からタクシーに乗り、そばの名店がひしめく「そば街道」へ向かう。運転手さんにどこがおすすめか聞いたのだが、バス同様に方言がさっぱり分からず、そば街道の入口らしい「手打そば たか橋」が見えたのでそこで降ろしてもらった。そば街道は、そばの畑が広がる道ではなく普通の道路であった。この国道13号線から銀山温泉までそば屋が続いているようだ。
広々とした店内。畳の小上がりから外を見ると庭の池で色鮮やかな鯉が泳いでいる。生ビールと一緒に注文したのが、おすすめに書かれていた「鴨汁と板そばのセット」。この季節は山菜が旨いらしくビールと一緒にゼンマイのおひたしが出てきた。板そばは、コシが強くやや太め。鴨汁につけて食べるのだが、素朴な味わいでなかなか。コシが強いので、けっこう食べ応えがあった。ふぅ〜ご馳走様。
帰りのタクシーの運転手さんは50代前半だろうか…9割近く話が理解できホッとした。東京から来たとことを伝えたので分かるように話してくれたのかもしれない。家族に、尾花沢名産のサクランボを買って帰ろうと思ったが、まだ時期ではないらしく断念。運転手さんによると梅雨時がシーズンらしく一足早かった…。タクシーのフロントガラスからまだ雪をかぶった蔵王山が見えた。
夕方の4時近くを迎えた大石田駅のホームのベンチで、出張で始めて来たという40代のサラリーマン三人と隣り合わせになった。仕事がうまくいったらしく満面の笑顔がこぼれる。三人の手には、スーパーの袋。中には、ビールとつまみが仲良く入っているのが見えた。
大石田駅を出た山形新幹線「つばさ」は、東京へ向けなめらかに走り出した。福島駅を過ぎた辺りからは夕暮れ時の美しい風景が窓を流れ始めた。うつくしい…。行きと違いほぼ満席だったが、窓側に座った僕の隣は、ずっと空いたままだった。
平日の旅は、さいこー。明日からまた頑張ろうっと。
(06年5月:旅々旅人) |
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