旅々たびたび
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箱根湯本
1万円で贅沢に楽しむ日帰り温泉旅。  
箱根湯本温泉・天山
箱根登山鉄道 はつ花・せいろそば
しゃくり豆腐(銀豆腐)
 1:箱根湯本温泉 天山※
 2:箱根登山鉄道
 3:はつ花:せいろそば
 4:強羅温泉・しゃくり豆腐
※天山は撮影禁止のためパンフレットよりお借りしました。(撮影禁止は利用者に不快感を与えないための配慮と思われます)
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[アクセス]
新宿駅→(小田急線:約1時間35分)→小田原駅→(箱根登山鉄道:約16分)→箱根湯本駅→(箱根登山バス・畑宿方面行き:約6分)→奥湯本入口(バス停)→(徒歩:約3分)→天山→(バス:約6分)→箱根湯本駅前→(徒歩:約5分)→はつ花(そば屋)
箱根湯本駅→(箱根登山鉄道:約40分)→強羅駅→(徒歩:約3分)→銀豆腐→(徒歩:約5分)→強羅館(日帰り温泉)
[関連サイト]
■箱根全山
・箱根の観光サイト
■天山(てんざん)
・神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋208・TEL:0460-86-4126
■箱根登山鉄道
■はつ花(そば)本館
・神奈川県足柄下郡箱根町湯本635・TEL:0460-85-8287
■銀豆腐(しゃくり豆腐)
・神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300・TEL:0460-82-2652
■温泉ホテル 強羅館
・神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-241・TEL:0460-82-3208
[旅行手配内容]
電車(券売機):約8,000円(全費用)
神奈川方面の名物
 
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年に1度か2度、突発的に起きるさぼり病
週末をのんびり過ごしたにも関わらず日曜の夕方に、サザエさんを見終わった頃からジワジワと気持ちが流されていった。(笑)
「よし!明日は箱根に行こっ!」

月曜の朝7時36分、新宿発の小田急線に乗り込んだ。始発なので座れたが徐々に混み始め、気がつくとギシギシと満員電車となっていた。下りなのに驚きである。風景もまるで見えないのでショルダーバッグに入れてきた最近お気に入りの江國香織の小説と向き合う。愛甲石田駅、伊勢原駅を過ぎるとやっと静かな空間が訪れ旅が始まった

箱根湯本新宿を出てから約1時間50分。箱根湯本駅に到着。電車を降りるとヒンヤリと冷たい空気を感じ手袋をはめる。改札を出て箱根登山バスの畑宿方面行きのバス停へ向かう。ここからバスで約6分程の所にある天山(てんざん)という温泉がおすすめなことを横浜に住む友人から聞いたことがあったからだ。

約10分後、会話の様子から互いに日本舞踊を習っているらしい二人のおかあさんと僕の三人を乗せ狭い山道を登り始めた。道が狭い割に、バスをはじめ車の量が多い。さすが人気の温泉地、箱根。天山のある奥湯本入口というバス停で降りた所に天山の看板があり、坂道の下にそれらしき建物が見えた。森の中にある温泉郷だ。

温泉・天山坂道を下った左手に伝統的な純和風の旅館のような建物があった。どうやらその建物が天山らしい。チケット(1,200円)を買い門をくぐり、中へ入ると照明をいい感じで落としたセンスのいい空間が現れ女性スタッフの笑顔と一緒に迎えられた。

風呂場へ向かう廊下の途中に、畳の部屋でくつろぐ浴衣姿のおとうさんや、ゆったりした椅子にもたれ読書をする浴衣姿の若い女性がちらっと目に入った。静寂に包まれた空間で、湯上がりの時間を気ままに楽しんでいるようだ。そして風呂場へ着くと脱衣所から木々を背に広々とした露天風呂がある風景が見えた。脱衣所と露天風呂の間には畳の休憩所もある。いやーこれはすばらしいところだ…。

風呂場へ出ると、全部で5つの露天風呂があることが分かった。身体を洗い檜の風呂に身体をしずめる。あっ…あつい!!!思わず声に出したほど熱い…。基本的に熱い湯は好きだがここまで熱い湯はそうはない…。やがてその熱さにも慣れ、無色透明のなめらかな湯を手ですくいそこに顔をうずめた。うわぁぁ…最高だこりゃ…。しばらくただボーっとした。

少し離れたところに白い壁の小屋がありひょうたん型に切りぬかれた隙間からモクモクと湯気が立ち昇っているのが見えた。近づいてみるとサウナのようで、塩を痛いところにつけてお入り下さいと書かれていた。塩?近くの壷のようなものに塩が入っていた。しかし、この日はサウナの気分ではないので遠慮した。

温泉はどうやら特別熱い湯だけじゃなく適温の湯もあった。せっかくなので全ての湯に浸かってみた。あぁーしあわせ…。それにしても実に素晴らしい空間の温泉だった。同じ敷地内にある一休という温泉にもはしご湯券(100円)で入れる。こちらは檜風呂がメインらしい。残念ながらこのサービスは帰った後で知った…。箱根湯本駅との間に送迎バスがあることも後で知った…。くそー。(笑)

来た道をそのままなぞり箱根湯本駅へ戻った。行きと違い帰りは満席。韓国人の観光客がなぜか半数以上を占めており、あちこちからハングル語が大きく響いていた。

箱根湯本・湯本橋温泉街を歩きながら地元で人気と聞いたそば屋「はつ花」へ向かう。温泉饅頭や魚のひものを売る店が続く。軽トラックを改造し屋台のようにして、ひものを売るおかあさんもいた。七輪の上ではいい感じでサバ(多分)が焼かれていた。浴衣を着たおかあさん達とすれ違った先に湯本橋があり、その橋を渡った左手にはつ花はあった。

せいろそば店内のカウンター席からは箱根湯本駅周辺の町並みと真下を流れる早川が見える。よく見るとカルガモの親子が連なって仲良く浮かんでいた。湯上りのビール(550円)で咽を潤した後に、人気メニューのせいろそば(1,100円)を頂いた。

コシのある麺を自然薯のとろろと玉子、海苔、わさびを混ぜたものに入れて食べる。(つゆはお好みでブレンド)。ビールともよく合い旨い。試しに何もつけないでそばだけを食べてみるがしっかりした味わいでこれまた旨かった。

来た道をそのまま歩いて戻り、今度は箱根湯本駅から強羅温泉駅まで伸びている箱根登山鉄道(1919年開通)に乗った。箱根湯本駅から6つ目の駅で終点でもある強羅駅(390円)までは40分かかる。傾斜があるため速度はかなりゆっくり。そしてスイッチバックと呼ばれるジグザグ走法が途中3回ある。スイチバックをやると電車の前後も反対になるため箱根湯本駅を出た時は最後尾だったが強羅駅に着いた時は先頭だった。紫陽花の季節がおすすめらしい。

大湧谷(おおわくだに)標高約700メートルの高さにある強羅駅はさらに肌寒かった。三角屋根のロッジ風の駅舎を出た通りには温泉饅頭などを売るみやげ屋が軒を連ねる。強羅公園に向かう道の上には約3000年前の箱根火山の跡と言われる大湧谷(おおわくだに)が見えた。モクモクと立ち昇った湯気は低く垂れこめた雲とそのまま同化していた。

しゃくり豆腐強羅で人気の豆腐かつ煮が看板メニューの「田むら銀かつ亭」の近く。素朴なたたずまいの豆腐屋さん(銀豆腐)の前で数人の方が小さなカップを手に豆腐を食べていた。どうやら人気の立ち食い豆腐屋さんのようだ。せっかくなので中へ入りしゃくり豆腐(210円)を頼んだ。醤油をかけ寒空の下、しゃくって食べた。あたたかくて濃厚でまろやか。醤油がいい感じで染みて旨かった。田むら銀かつ亭の豆腐もここの豆腐を使っていると聞いた。

田むら銀かつ亭の前には20人くらいの行列ができていた。さすがに人気店。その近所にある旅館で日帰り入浴ができると聞いていたので、お昼の12時半くらいに行くと、掃除中という理由であっさり断られてしまった…。ガクッ…。ここまで来てそれは…。
「他に日帰り入浴ができる所はないですか?」
と失礼ながら聞いてみた。
「さぁ…それはわかりません…。駅前で聞いてみたらどうです…」
と、冷たく返ってきた。

ふん。そんな言い方をされるくらいなら、聞くもんか!と子供のように思い、(笑)周辺を探したがまるで見つからないので、結局言われた通り駅前の小さな観光案内所のおかあさんに同じ質問をするのであった。

「町営でもいい?」
「え…ええ…。いいですけど…」
「この先に地下道があってそこを抜けた先に、老人憩いの家があるからそこがいいわよ」
「ろ…ろうじん……」

妙な間を感じたらしく、
「嫌なら旅館の日帰りもあるけど」
返ってきた言葉にはちょっと不機嫌な感じがこもっていた…。怒らせちゃったみたい。(笑)
今日は老人と特別憩う気もないので、失礼ながら適当にその場をしのいだ。

うーん…、困ってしまった。どうしようか…。途方にくれている時、ふと駅前のみやげ屋が目に入った。そこで小さな強羅饅頭(2個で105円)を買い、それを食べながら、売り子のおかあさんにまた同じ質問をしてみた。

すると…
「そこの地下道を抜けて左に上がった所にある強羅館で入れるわよ」
「強羅館ですか?」
「そこは、にごり湯でいいお湯よ」
と、笑顔と一緒に返ってきた。
「あ、ありがとうございます」
僕は、こういう答えを待っていたのだ。よかった…。

強羅館強羅館へ行くと上品なおかあさんが丁寧に迎えてくれた。750円を支払い風呂場まで案内される。先客は一人。ドアを開けると乳白色のきれいな湯が湯舟にたぷたぷしていた。大人8人が向かい合って入れる程の小さめの湯船。その片隅におじいちゃんが一人湯につかっていた。

強羅館「こんにちは」
「あっ、どうもこんにちは」
と、感じよく返ってきた。いい人そうだ。お湯は硫黄の香りがプンプンしており、やや熱めの「にごり湯」。なめからかで実に気持ちがいい。
「底に湯の花が少しあるからそれを手につけて身体にこすりつけるといいよー。僕はここに来るといつもそうしてるんだ」

言われた通り手を下につけるとザラザラした感触と一緒に湯の花が手についた。そしてそれを身体にこすりつけた。温泉自体を楽しむには硫黄泉質で乳白色の温泉が一番好きなことに改めて気づいた。景観や空間を楽しむには最初に行った天山の方が圧倒的に素晴らしいが…。おじいちゃんと色々話をしながらどっぷり強羅のにごり湯を楽しんだ。気がつくと、老人と憩う結果となっていたのでした。(笑)歳のうんと離れた方と一緒に湯の時間を過ごすのもいいもんです。

箱根湯本からの帰りは、わずか870円の特急券を買えばいいらしいのでロマンスカー(EXE)に変更。大して待つことなくロマンスカーは快適に走り始めた。すばらしい乗り心地。窓の外に鮮やかな黄色に実ったみかんの木々や小さく花をつけた梅の木が線路脇にあるのが見えた。風景は少しだけ楽しみ読みかけの小説を開いた。

総額で約8000円。贅沢な箱根日帰り温泉旅であった。さあ、明日から仕事頑張ろうっと。

(07年2月:旅々旅人)
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