旅々たびたび
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嬉野温泉
つるつるの美肌湯と温泉湯豆腐。  
嬉野名物 温泉湯豆腐
茶畑(嬉野茶) 華翠苑の露天風呂
大正屋の滝の湯
 1:嬉野名物 温泉湯豆腐
 2:茶畑(嬉野茶)
 3:華翠苑の露天風呂
 4:大正屋の滝の湯
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[アクセス]
福岡天神バスセンター→(九州急行 バス:約1時間30分)→嬉野IC→(宿送迎車:約5分)→ホテル華翠苑
ホテル華翠苑→(徒歩:約7分)→シーボルトの足湯→(徒歩:約35分)→椎葉山荘→(徒歩:約35分)→大正屋→(徒歩:約1分)→宗庵よこ長→(タクシー:約15分)→JR彼杵駅
[関連サイト]
■嬉野温泉観光協会
■九州急行バス
■宗庵よこ長
嬉野市嬉野町下宿乙2190
TEL:0954-42-0563
■ホテル華翠苑
嬉野市嬉野町岩屋川内甲333
TEL:0954-42-2111
■椎葉山荘
嬉野市嬉野町岩屋川内字椎葉
TEL:0954-42-3600
■大正屋
嬉野市嬉野町下宿乙2276-1
TEL:0954-42-1170
[旅行手配内容]
宿泊(じゃらん):約14,000円(嬉野内の全費用、高速バス含む。飛行機代含まず)
佐賀方面の名物
 
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いつだったか、ANAの機内誌「翼の王国」でその存在を知った嬉野温泉。つるつるした湯と温泉の湯を使ってつくる温泉湯豆腐のうまさに感動した旅人の話が載っていた。つるつるの温泉と美味しい温泉湯豆腐かぁ…。いいなぁ…。いつか行けるといいけどなぁ…、なんてその時は思った。

それから1年も経たない内にその機会が訪れた。3月に入ったばかり。福岡で仕事があったので終わったらそのまま嬉野温泉へ行くことにした。嬉野温泉は、福岡から高速バスでわずか約1時間30分。意外と近い。嬉野は佐賀県と言っても玄海灘方面ではなく有明海や大村湾に近い。

天神のバスセンターから長崎駅行きの高速バスに乗った。夕方の7時前。既に窓の外は暗く、高速(長崎道)に入ると車内の電気まで消えた…。寝る人に配慮してだろうが、まだ寝るには早くないすか…、と思いながらも文字が見えないので仕方なく読んでいた単行本を閉じた。それから嬉野ICに着くまでほとんど真っ暗な景色が続いた…。久しぶりに何もすることのない妙な時間を味わった。まぁいっか。

嬉野IC嬉野ICは街灯も少なく静かな暗闇に包まれていた。そして3月だというのにひどく寒い…。5分後に来てくれた今宵の宿「華翠苑」の送迎車に揺られホテルへ向かう。嬉野市は人口約3万人の小さな街。薄暗く寂しい街並みがぼんやりと窓を流れていった。

チェックインを済ませ、すぐに向かったのはホテルの9階にある空中露天風呂「月の湯」。裸で風呂場へ出ると、信じられないくらい寒かった…。これは5℃とか6℃くらい?(実際は3℃だったらしい)たまらず湯につかる。あぁぁ…あたたかい…。
そして、つるつるでプルプル…。
つるつるプルプル感をこんなにストレートに実感できるとはすばらしい…。その湯に包まれると身体全身がスベスベになり驚いた。すごいわぁこれは…。一人その湯に浮かび星空を眺めた。ふうー。

嬉野温泉は、713年に書かれた書物「肥前風土記」にも登場している長い歴史のある温泉地。地下20〜30メートルから湧き出るお湯は1日3,000トン。源泉はかなり高温で95℃。宿は44軒あり、年間200万人が訪れる温泉地などとパンフレットに書かれていた。スベスベと肌に与える影響から美肌の湯とも呼ばれている。なるほど。美肌の湯か…。確かに自分の肌も明らかにスベスベとしていた。男の癖になんだかちょっと嬉しかった。(笑)

居酒屋湯上りに、ホテルの近くで見つけたラーメン屋風の居酒屋に入った。店内はスナックのような感じで常連客が石原裕次郎さんの「夜霧よ今夜も有難う」を歌っている…。しまった…と思ったが、お店のおかあさんと目が合ったのでそのままカウンター席についた。
「なんにもなくてごめんね…」
と、おかあさん。メニューはラーメンと温泉湯豆腐しかなかった。

せっかくなので瓶ビールと一緒に温泉湯豆腐を頂いた。温泉湯豆腐には、ゴマダレがついていたがそれにつけなくてもまろやかな味わいで美味しかった。しかしこの豆腐をゴマダレなんぞにつけてはいかんでしょ…。ゴマダレの味が強すぎます…。

「お客さん、どこのホテルに泊っているの?」
と聞かれ思わず苦笑した。若い見慣れない男が一人。相当怪しく映ったのだろう…。こうやって何らかの確認をされることは一人旅をしてるとよくあることだが…。(笑)

空中露天風呂翌朝。6時半頃にまた空中露天風呂へ行くと朝の嬉野の街並みが見渡せた。やーのどかだねー。四方を山に囲まれた素朴な街並み。しかし、あまりにも寒かったので地下の大浴場に入ることにした。50人以上が余裕で入れそうな大浴場「唐泉の湯」。大きな湯舟にどっぷりつかるとまたしても、つるつるプルプル感に包まれた。

朝の嬉野湯上りに頂いたのは嬉野名物の嬉野茶。やわらかな風味がいい感じであった。朝食をつけていなかったので、朝の7時頃にチェックアウトをし温泉街を歩くことにした。温泉街を流れる嬉野川には白鷺の姿。街の中心部では足湯を見つけた。「シーボルトの足湯」とあり、かつてここを訪れたシーボルト(ドイツの医師・博物学者)を記念して作られたことを掃除をしていた観光ガイドらしいおかあさんに聞いた。

「入っていったら。スベスベになるわよ」
と言われたが、既に朝湯でスベスベ、プルプルだったので遠慮した。歩いているうちに気温も少し上がってきたらしくポカポカと暖かくなってきた。さてと湯めぐりだ。是非入ってみたかったのが全国的にも人気の高い宿「椎葉山荘」にある「しいばの湯」。地図で見るとやや遠く思えたが、歩いて嬉野を感じたくてそのまま山を上がった所にある椎葉山荘まで歩くことにした。タクシーもまだ走っていないし…。

嬉野の茶畑朝陽を浴びた田んぼがまぶしく輝いていた。これぞ日本の朝って感じ。軽快なリズムを打つ小鳥の鳴き声。道端には黄色い菜の花。そして山道へ入ると茶畑がきれいに広がっていた。近づくとお茶のやわらかい香りを感じた。嬉野の春を身体中で感じられ嬉しかった。

街の中心部から約35分。歩くには想像以上に遠かった。登り坂も多く汗だく…。椎葉山荘は森に囲まれた最高のロケーションに建っており静かな朝を迎えていた。日帰り入浴ができる露天風呂「しいばの湯」の入浴時間にはまだ早かったので椎葉山荘のカフェでコーヒーを飲みながらゆっくり待つことにした。若い女性スタッフが丁寧にコーヒーをおとしてくれている。ゆったりソファーに座り、大きなガラス窓に映る気持ちのいい自然の風景をぼんやり眺めた。すごいとこに来ちゃったなぁ…。

コーヒーを飲み終わると9時少し前。しいばの湯へ歩いていくと、ちょうどオープンになり受け付けで1,000円を支払い露天風呂へ向かう。ものすごく清潔感のある空間。バスタオルやフェイスタオルも借りられるのもいい。そして一番客。内風呂を通り、外へ出ると自然に囲まれた広々とした露天風呂が現れた。すぐ下を川が流れている。

しいばの湯誰もいない湯につかる。循環しているらしく、華翠苑の湯よりつるつるプルプル感は弱い。ここは湯そのものよりもこの景観と空間を楽しみたい。しばらくひとりでしいばの湯をゆたゆた味わった。この空間を独り占めできるのはなんとも幸せである。

すっかり満足し、来た道を歩いて帰ろうとすると椎葉山荘の玄関に目を疑うような場違いな車の姿があった。白いキャデラック。どうやら送迎用の車らしい…。昔、グアムで射撃場へ行くときに送迎車で乗ったっけ…。帰りは下り坂なのであっという間だった。そして次に寄ったのは椎葉山荘と同じ系列の老舗旅館「大正屋」

駐車場に椎葉山荘で見たキャデラックがとまっていた。やはり温泉街には似合わない…。(笑)受付で1,000円を支払い「滝の湯」へ向かう。ここもタオルを借りられるので嬉しい。そしてまた一人。ガラス張りの壁面。そのガラスの外は朝陽を浴びた滝がキラキラ輝く。落ち着いた赤茶系の色をした細長い湯舟に身体をうずめる。ふぅー気持ちいい。椎葉山荘の湯にとても似ていた。

後から入ってきたおとうさんと色々話をした。半年前に初めて嬉野を訪れ、嬉野の湯にはまったらしく、それ以来月に1度、ご夫婦で佐世保から来るようになったという。随分と幸せそうに話してくれたのが印象に残った。ちょっと熱めの湯。のぼせない程度に楽しんだ。

湯上りに寄ったのは嬉野名物の温泉湯豆腐発祥の店「宗庵よこ長」。漫画の美味しんぼにも登場したお店。湯上りの生ビールを流し込む。くぅーうまい…。そして湯豆腐定食(790円)と向き合う。どれどれ…。まずはそのままレンゲで豆腐をすくって食べてみる。
うまい!!!!
まろやかでものすごく深みがある。いやーこれはまいった…。

醤油ベースの漬けダレもついていたが、そんなものにつけては本来の味わいは失われてしまうだろう。うまいうまいと言いながらスープまで一滴残らず平らげた。しびれた…。前日に食べた温泉湯豆腐とはかなり違う味わいだった。小さな器に入ったうどんもまた美味しかった。ふぅー食った食った。

温泉湯豆腐を食べ、嬉野温泉を出発することにした。JR彼杵駅(そのぎ)へ向かうバスの時間まで1時間30分以上もあったのでバス停の前にあるタクシー会社へ行きタクシーを出してもらった。
「昨日はどこで遊んだの?」
と、突然聞かれた。
「はい?いや、遊ぶというか…温泉に入って湯豆腐食べて寝ましたが…」
「あっそう…」
それはどうしたことかというような感じでフロントミラー越しに僕を見るのであった。(笑)

運転手さんによると嬉野は温泉だけでなく歓楽街でもあるらしい。しかし、20年前は約350人もいた芸者が今では約60人しかいなくなったと、寂しげに言うのであった。美肌湯が人気となり女性客がうんと増えたのだそうな…。
「それはそれでいいじゃないですか」
と言ったが、運転手さんはどうやら昔の方が好きだったらしい。

棚田突然、タクシーの窓から美しい棚田(たなだ)が広がっているのが見えた。その後間もなくしてフロントガラスに朝陽に輝く青い海(大村湾)が広がるのでした。

(07年3月:旅々旅人)
 
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