旅々たびたび
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与那国島・Drコトー診療所
自然の美しさと厳しさを味わう。  
東崎の馬達
立神岩 日本最西端の地碑
与那国そば
 
 1:東崎の馬達
 2:立神岩
 3:日本最西端の地碑
 4:与那国そば
 
>>詳細地図(Googleマップリンク)
[アクセス]
石垣島空港→(JTA飛行機:約30分)→与那国空港→(車:約8分)→どんぐりと山猫→(車:約15分)→Drコトー診療所オープンセット・比川浜→(車:約15分)→立神岩→(車:約5分)→軍艦岩→(車:約5分)→東崎→(車:約25分)→九部良漁港→ユキさんち→民宿→(徒歩:約5分)→海響
民宿→(車:約5分)→日本最西端の地碑
[関連サイト]
■美ら島物語
・与那国島情報
■どんぐりと山猫
・与那国町与那国62・TEL:0980-87-2622
■ユキさんち
・与那国町与那国4022・TEL:0980-87-2911
■海響(いすん)
・与那国町字与那国4022-6・TEL:0980-87-2158
[旅行手配内容]
飛行機(JTAサイト)、宿泊(直接手配):約30,000円(全費用)※石垣←→与那国
沖縄方面の名物

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天候調整があり、約20分遅れで与那国島へ向かうJTAの飛行機が石垣空港をあたふた飛び立った。ホッ…。飛んでくれて良かった。そしてわずか30分程で窓の下に日本最西端の西崎(いりざき)と、その先端に建つ白い灯台が見えてきた。日本の最西端かぁ…。最北端や最南端と違ってそれほど特別な感情が起きないのは、日本が縦に長いという事実と認識があるからだろうか。天気はどうやら雨…。

飛行機が遅れた影響で既に11時半前。与那国空港は宿泊客を待つ旅館や民宿のスタッフらしき人達の姿もあり思った以上に多くの人で賑わっていた。空港内にあるレンタカー屋でナビ付きのシルバーのヴィッツを借りた。与那国島の観光は、レンタカーかレンタバイクでしか難しい。タクシーもバスもほとんど見かけないからだ。ランチに向かったのは空港から車で8分程の祖納(そない)という集落内にあるレストラン「どんぐりと山猫」。

店の前辺りはすでに先客の車でいっぱい。恐る恐るドアを開け覗いてみると一席だけポツンと空いていた。ラッキー!入口のドアもそうだったが、店内中に「Dr.コトー診療所」に出演していた吉岡秀隆さん、泉谷しげるさんらが来店した時の写真がこれでもかとベタベタ貼られている。ここまで貼りまくる店もめずらしい。あ、いや、函館にもあった。(笑)

ものすごい種類のメニューから与那国そば(500円)の味噌味を選んだ。そばで味噌味?はてと…。間もなくしてラーメン丼にたっぷり盛られた与那国そばが登場。細平麺の上に豚肉、細く切られた玉子焼き、かまぼこ、ねぎ。ズズッと麺をすする。うまい!

そばと言うよりもラーメンと言った方がしっくりする。スープは濃厚な味噌味でこってりとうまい。日本の最西端まできてこんなにうまいラーメン(そば)が食べられるとは感激である。1月のこの日の与那国島は、冬らしくちゃんと寒かったのでポカポカあったまりちょうど良かった。

雨は上がっていたがどんよりした曇り空の下をレンタカーで駆け抜ける。向かったのはテレビドラマ「Dr.コトー診療所」のセットがある比川浜。久しぶりにハマリ、泣けたドラマ。素直に名作だと思う。その舞台を是非とも見ておきたかった。小さな集落を抜けると信号もほとんどなければ車もほとんど走っていない。15分程走ると診療所を示す小さな看板を見つけ少し入った所で車をとめた。

Dr診療所オープンセット海岸沿いの道へ上がると、100メートルほど向こうに小さく診療所の建物が見えた。おぉぉ…あそこだ。建物は古く、セットとは思えないくらい誰かが生活をしていた後のような感じがしみじみ伝わってくる。まあ、わざとそういう風に作ったらしいが…。建物の横にはセットの船がゴロンと横たわる。

Dr診療所オープンセット裏へ回ると古ぼけた洗濯機まであった。今後もまた撮影に使うらしく中には入れなかったが屋上には自由に上がれた。あの旗は上がっていなかったが美しい比川浜が静かに広がっているのが見えた。なんて静かなんだろう。波の音さえ聞こえない…。

誰もいない比川浜の砂浜を歩いているとポツポツと雨が落ちてきたので急いで車に戻った。さむいっ…。熱いコーヒーを飲みたかったがカフェも自動販売機らしきものもまるでない。仕方なく東崎方面へ車を走らせる。15分程走っただろうか…。立神岩と呼ばれる名所が見られる展望台へ着いた。車を降りると
グォォォォォォォォォォォォォ!
っと嵐のような雨まじりの風が吹き荒れていた。

立神岩こんなにすごい風は生まれて初めて…。もちろん傘など何の役にも立たない。そして断崖絶壁の地形が連なる風景の中、海からズッコーンと突き出たかのように見える先のとがった立神岩の姿が目に飛び込んできた。うわぁぁぁ…。なんだかとても神々しく見える。ガイドブックなどの写真で見るよりも断然迫力のある風景だった。しかしさむい…そして冷たい…。

ドアが吹き飛ばされそうになるのを注意しながら車に逃げ込んだ。普段なら当たり前の静寂な空間に激しくホッとした。フロントガラスの向こうには東崎の風車が見えた。そんな過酷な状況であったが、それでもせっかく与那国島へ来たからにはもう一箇所と思い、立神岩から5分程東崎よりにある軍艦岩へ向かった。

軍艦岩前方にこの嵐の中をバイクで走っている若者の姿が…。ヒィェーーーーー!なんという無謀な…。展望台の駐車場で車を降りると嵐はさらに勢いを増していた。軍艦岩が見下ろせる位置へ両側に手摺りのある小道を歩くが、途中でなんと崖側の手摺りが壊れていた…。そんな……。足がブルブル震えながらもなんとか先端付近へ辿り着いた。軍艦岩は確かに軍艦を思わせる迫力に満ちた岩であった。

さらに真下を覗こうとした時に足元がすべりズルッ………。
ギャャー!!!
あと10センチ程で崖の下に落ちるところであった…。この刹那の中で家族の顔が一瞬で駆け巡った…。

これは観光などしてる場合ではない…。
自然の美しさと厳しさを全身で味わった。すごいわぁ…。
しかし、来て良かった。
なぜかそう思った。こんなこと滅多に体験できるものではないからだ。車で東崎付近へ着くと目の前を放し飼いされている黒い牛がゆっくりと横断するところだった。

ユッサユッサ…。
ヨナグニウマ牛の横断が終わり少し車を進めると暴風雨に耐えるヨナグニウマの姿があった。バリバリバリ!!!っとものすごい風の音がする風景の中で6頭くらいがブルブルと身体を寄せあっていた。うわぁぁぁ…。車から降り少し近づきたいと思ったが一歩足を前に出すのもやっとこさの状況でさすがに断念…。オトナシク宿のある九部良漁港へ向かった。

ユキさんち最初に来た祖納集落を抜け与那国空港の前を通り25分程で九部良の集落に着いた。ブルブルブル。さむい…。何か暖かいものをと…、ユキさんちという坂道の途中にあるカレー屋に入った。カレー屋でコーヒーだけ頂く作戦だ。聞くとコーヒーだけでもいいとのこと。よかった…。

東南アジアのカフェのような吹き抜けの気持ちのいい空間にゆたーっと身を任せ、あたたかいコーヒーをゴクリと飲んだ。
あぁぁ……。生き返る………。
煮詰まっていたが、熱いコーヒーが身体にじわじわ染み渡った。そしてテーブルの上に並べられた貝殻を眺めながら与那国をしみじみ感じた。嵐の後だけに天国に感じた。

一休みして、そこからすぐの場所にある日本最西端の宿、民宿よしまる荘に着くと玄関で真っ白い肌のビキニ姿の若い女の子と出会った。この嵐の中、なんで水着の女の子が民宿の玄関にいるの……。ものすごい光景だった。こちらはジャンバーを着て真冬の格好。

実はこの民宿はダイバー達に人気の宿でダイビングサービスもやっていることを後で知った。与那国島には海底遺跡では?と言われている謎の巨大な岩場があり、それも含めてダイバー達に人気なのだ。

風呂がないのがひどく残念だったが熱めのシャワーを浴び部屋で一休み。窓の外からは相変わらずゴーゴーと風の音が聞こえてくる。暗くならないうちに早めに晩ご飯を食べようと、歩いて5分程のところにある海響(いすん)という島料理の店に入った。
海響店内 車エビの塩焼き 長命草の天ぷら

オリオンビールをジョッキで一気に飲み干す。疲れのせいか一杯で早くもさーふーふー(ほろ良い状態)。与那国の名物、カジキは時期を外してしまった。(カジキは3月から10月中旬頃)二杯目のビールと一緒にスルル(キビナゴ)のフライを楽しんだ後、これまた与那国の名物、長命草の天ぷらと車エビの塩焼きを食べたが、抜群に旨かった。ビールの後、地酒の泡盛どなんを水割りでやりながら与那国の夜をどっぷり楽しんだ。

気がつけばお客さんでいっぱい。話してみるとほとんどが地元の漁師さんであった。店を出るとまだ嵐…。容赦なく襲い掛かかってくる風の中を登山でもするかのように前傾姿勢で歩きながら、やっとの思いで宿へ戻り、そのままベッドの上で眠った。早朝、また嵐の音に気づくまで…。

(06年1月:旅々旅人)
 
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