旅々たびたび
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玄宮園と彦根城
琵琶湖の恵み  
琵琶湖
夢京橋キャッスルロード ひこにゃん
小鮎煮
 1:琵琶湖
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[アクセス]
JR彦根駅→(徒歩:約20分)→夢京橋キャッスルロード→(徒歩:約10分)→彦根城→(徒歩:約7分)→玄宮園→(徒歩:約25分)琵琶湖畔→(バス:約5分)→彦根駅
[関連サイト]
■彦根観光協会
■彦根城
■あゆの店「きむら」
・彦根市本町2-3-3
TEL:0749-24-1157
■びわ湖観光船オーミマリン
[旅行手配内容]
山陽本線・新幹線(JR緑の窓口)等:約20,000円(前日までの費用は含まず)
滋賀方面の名物
 
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「その本、大事にしーやー」
車窓から滋賀の彦根駅へ向かう山陽本線のBOX席。隣に座った30歳前後の母親が、編み物をしながら6歳前後の娘にそう言った。
「ほやでー。本は大事にせなあかんでー」
と言ったのは、おばあちゃん。
神戸駅から乗ってきた三人の家族。僕の存在を無視するかのように会話が続くが、関西弁のイントネーションがなんとも気持ちいい。

しかし、BOX席で「一人だけ他人」という状態はさすがにあまり落ち着くものではない。(笑)おまけに突然差し込んできた朝の陽射しを嫌い、おばあちゃんがサッとブラインドを下げてしまった。あらっ…。窓側に座っていたがもはや車窓を楽しむ状態ではなくなったので仕方なく、ゆっくりと目を閉じた。

途中、どこかの車両で警察沙汰になる程の乗客同士の壮絶なケンカがあったらしく、30分も遅れて彦根駅に着いた。駅の改札を出ると9月も後半だというのに、真夏のような陽気。さてと彦根城をぶらりと探索しますか。時間があれば琵琶湖にも寄ろうっと。

2007年。天守閣が現存する12城の内の一つである彦根城が築城から400年を迎えたそうな。誰の城だったか?すぐに答えられる人は彦根の人か歴史通の人くらいだろう。調べて見ると、彦根城は、徳川幕府の大老で安政の大獄や桜田門外の変でも知られる井伊直弼(いいなおすけ・13代藩主)の先祖、井伊直政の子・直継(直勝)が築城を始め、約20年後の1622年、井伊直孝(第二代)の時に完成した平山城。

彦根駅から10分ほどで彦根城の堀端に着いたが、電車が遅れたこともあり、先に早めの昼ごはんを食べようと、夢京橋キャッスルロードと呼ばれる通りに向かった。白壁にいぶし瓦の建物が両サイドに約350m続く大きな通りでみやげ屋や飲食店、銀行、クリーニング店までが頑張って江戸時代の城下町の雰囲気を演出していた。通りの商店、企業が一丸となって努力する姿はすばらしい!なかなかできることではない。
夢京橋キャッスルロード 銀行 クリーニング屋

「きむら」という琵琶湖の鮎(アユ)フナズシが食べられる店に入った。テーブルに座りメニューからフナズシ汁、アユの姿煮、湖魚小鉢、ご飯がセットになった「フナズシ汁のセット(1,050円)」を注文すると…、

「かなり酸味がありますが大丈夫ですか…」
と、ホントにそのメニューでいいかどうかの確認があった。
え!???
こんなことは初めてのことなのでちょっと待ってもらい、もう一度メニューを見渡す。うーむ…。しかし、滋賀に来たからにはやはり滋賀らしいものを食べたい。

また店員さんに来てもらい、
「やっぱりさっきので…」
と、お願いした。元々苦手なものが少ないので、なんとかなるだろうと思っていたが、そうはいかないのであった…。

フナズシは、スシと言ってもにぎりではなく、琵琶湖の二ゴロブナを米と塩で漬け込み発酵させたもので、奈良時代から続く滋賀県の郷土料理。独特の香りと味わいで苦手な人も多いが好きな人もちゃんといるらしい。

フナズシ汁のセットトレーに盛られた料理がすぐ後ろの厨房から出てきた途端に、なんだか酸っぱい香りを感じた。目の前に置かれた時点で相当手強い料理であることが分かった。強烈な匂い…。まずは白濁して脂が浮いた汁を少しすすった…。

うっ…ぐっ………。
ものすごい酸味……。
確かに酸味が強いことは念を押されはしたが、ここまでとは…。(笑)
箸で沈んだ具を持ち上げると、ゴボウのようにスライスされた小さく薄いフナが姿を現した。同時に池や川でよく見かけるフナの姿が頭にハッキリと浮かび上がった。うーん…。

恐る恐る口にいれる……。
うっ……………………………………………。
これは…………。ツンとする匂いはまだしも濃厚な酸味がすごい…。なんだなんだこれは…。汁を二口、フナを二切れ食べ、もったいないけどギブアップ…。

我が人生でこんなに大胆に食べ物を残したのは初めて。注文をとってくれた店員さんと料理を持ってきてくれた店員さんにちゃんと謝ったが、できれば厨房まで行き謝りたい思いであった…。ホントすみません…。

小鮎しかし、次に食べた琵琶湖で獲れた鮎(アユ)の姿煮は美味!そして、その鮎の姿煮の横にちょこんと三匹並んだ5cmくらいの小魚の煮付けが絶妙に美味しかった。ご飯が進み、酒のつまみにも良さ気な濃い目の味わい。お店の人に聞くと、琵琶湖でしか取れない小鮎と教えてくれた。小鮎?初めて聞く名前。土産に買って帰りたいくらい好きな味だった。強烈なフナズシと、絶品の小鮎を食べ旅気分が一気に盛り上がった。やっぱ旅はこうでなきゃ。

お腹も当然満たされいよいよ彦根城内へ入る。入口の手前に何やら立て札があり、見ると、「彦根城築城400年祭」の開催に伴い通常料金(500円)の2倍になることが案内されていた。うそ…。

「2倍も取るんか?時期間違えたなぁー」
「なんでー。どうするー」
背後にいた家族の声。なんとマジメに帰ることまで検討していた。普通、こういう時って逆に値引きするものだけどなぁ…。(笑)
「変わってますよねー」
「そうやなー」
その家族と一緒に最終的には笑いながら、一人1,000円もするチケットを買って入城するのであった。

しかし、城は素晴らしかった。感動。1,000円札を出す価値は十分にある。天守閣内に入る手前からは関ヶ原の戦いで敗れたあの石田三成の居城、左和山城があった佐和山も見える。彦根城の天守閣は、思ったよりもかなり小さ目だが天井の曲線を描くぶっとい木が印象に残り、歴史とエネルギーをヒシヒシと感じた。これぞ本物の城
彦根城 彦根城 彦根城

築材は、近江に残る豊臣色の一掃を兼ね、小谷、大津、安土、佐和山、長浜などの各城の石垣や用材が使われたそうな。(郷土資料事典より)三階建ての最上階から見える瓦屋根が広がる彦根の街が美しかった。その先には大きな琵琶湖が静かに広がっていた。

玄宮園坂道を下ると玄宮園(げんきゅうえん)という大きな庭に出た。1677年に第四代藩主の井伊直興(いいなおき)が造らせた庭で、深い緑色の大きな池と風情のある八景亭(旅館)が織り成す風景がなかなか美しい。その奥に、彦根城の姿が映える。

それにしてもこの日は暑い…。僕もそうだが他の観光客も汗だくで、表情がどこか重たい…。お堀を進む屋形船の乗客も極度の暑さの中、なんだか可哀想であった…。今年の暑さは異常。今までとは暑さの質が違うような気がする。

琵琶湖さすがにもうそのまま帰ろうかと思ったが、歩いて行ける場所に琵琶湖があるとなればどうしても行きたい。さらに汗をかきながら琵琶湖へ辿り着いた。琵琶湖の防波堤には何人かの釣り人の姿。水はあまりきれいではないが、透明度はそこそこあり、小さな魚がウヨウヨ泳いでいるのも見えた。対岸までもちゃんと見渡せ、琵琶湖の大きさを実感できた。

琵琶湖防波堤の側に観光船の待合室があり嬉しいことにビールまで販売していた。素晴らしい!1リットルくらい汗をかいた思いなので喉はカラカラ…。よく冷えてるヤツを一本買い、防波堤に座り飲んだ。うまい…。最高だなこりゃ。彦根駅まで向かうバスの時間まで琵琶湖を眺めながら、ビールを楽しんだ。15分後に来たバスに乗ったのは僕一人。そのままノンストップで彦根駅まで運んでくれた。

「代金いくらですか?」
「はい?無料ですが…」
「えっ!無料なんですか?」
彦根城の入場料金が2倍なのと同じくらい驚いた。(笑)
些細なことかもしれないが、旅人に対するそのおもてなしの心がなんだか、とても嬉しく清々しい旅となった。

(07年9月:旅々旅人)
 
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