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1:大原美術館
2:岡山城
3:ママカリ寿司
4:ばらずし |
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>>詳細地図(Googleマップリンク) |
[アクセス] |
●琴平駅→(特急列車・南風:約1時間)→岡山駅→(山陽本線:約15分)→倉敷駅→(徒歩:約7分)→浜吉→(徒歩:約7分)→美観地区・大原美術館
●岡山駅→(路面電車・東山線:約4分)→城下駅→(徒歩:約10分)→岡山城→(徒歩:約2分)→後楽園 |
[関連サイト] |
■大原美術館
■岡山城
■後楽園
■郷土料理・浜吉
倉敷市阿知2-19-30
TEL:086-421-3430
■福寿司
岡山市奉還町2-16-17
TEL:086-252-2402 |
[旅行手配内容] |
●宿泊(じゃらん):約15,000円(香川→岡山内における全費用) |
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「うわぁぁ…。やっぱりきれいだなぁ…」
香川の丸亀を出て間もなく走り始めた瀬戸大橋から海と島々が織り成す瀬戸内の美しい風景が見えた。20歳(ハタチ)の頃、愛媛の松山から上京して初めての帰省の時、金が無く、おまけに夢も無く(笑)、電車を乗り継ぎながら瀬戸大橋を渡った時のことを思いだした。このまま松山に帰り、東京なんかに戻りたくないと切実に思ってたなぁ…。あれから15年以上も住むとは…。(笑)
岡山駅のホームには「いい日旅立ち」のメロディーが流れていた。この歌は、やはり谷村新司さんが歌うのがいい。山陽本線に乗り換えて向かったのは倉敷。岡山駅からわずか15分程で着いた倉敷はひどく暑かった。9月も後半だというのに30度くらいあるのではないだろうか。
駅から歩いて江戸時代に天領(幕府直接の支配地)として栄えた蔵街が残る「倉敷美観地区」へ向かう。そこへ向かう途中、白い壁の風情ある建物を見かけた。「浜吉」という郷土料理の店。時計を見ると昼の1時前。どこで食べるか決めていなかったが、あまりにも暑くて、この後でウロウロ探すのも嫌だなぁと思い暖簾をくぐった。
なんと客は僕一人。広めのカウンター席に座り、岡山の名物であるママカリ寿司(840円)をビールと一緒に注文した。昼間のエビスビールで一気にほろ酔い気分。うまい……。ママカリ寿司はにぎりの状態で6つ並んで出てきた。ママカリ(小魚)は、あまりの美味しさに隣からママ(ご飯)をカリ(借り)てでも食べ続けられることからそう呼ばれるようになったそうな。ホントかしら?
ビールと一緒にそのママカリをつまむ…。
うん?絞めサバに似てる…。
程よく酢で絞められておりまったりした味わい。にぎり6つくらいで調度いい。一般的な絞めサバより、絞めは控えめ。
続いて頼んだのがめずらしいシャコの揚げ物(約600円)。岡山の笠岡がシャコ漁で知られており、メニューにあったので一度体験してみることに。シャコ貝がそのまま全身揚げられておりびっくり。サクサクしており香ばしくまるで海老を食べている感じだった。
店を出てそのまま美観地区へ歩いて行った。こういう場所って、メインの通りだけでその裏手は普通の建物がある場合が多いが、路地に入っても白壁土蔵の街並みが続いていた。かつて物資の運搬に使われていた美観地区を流れる倉敷川には舟がプカプカ浮かんでおり、聞くと300円で乗れるらしい。せっかくなのでそれに乗り、船頭さんの案内を聞きながら下から見上げる形で白壁土蔵の街並みを楽しんだ。
美観地区には日本で最初の西洋絵画を中心とした大原美術館もある。倉敷の実業家大原氏により昭和5年に設立された美術館。絵画の前にその美しい建物が印象的だった。(入館料は1000円)旅先で絵をじっくり見るなんてなかなかいい。
モネ、エル・グレコ、ゴーギャン、ルノワール、マティス、ユトリロら著名な画家の作品がズラリと並ぶ中、圧倒的に感動したのが藤田嗣治の「舞踏会の前」と、モディリアーニの「ジャンヌ・エビュテルヌの肖像」。
藤田嗣治(ふじた つぐはる:1886年-1968年)の作品がこの美術館にあることを知らなかったので、突然彼の絵が現れた時は驚きと同時に胸の高まりを感じた。やはりこの人の透明感のある絵は素晴らしい。西洋での評価は高いが日本では正当な評価をされず、いまひとつ知名度の低い彼の作品の前で立ち止まっている人はほとんどいなかった。だから僕は思う存分巨大な絵の「舞踏会の前」を楽しむことができた。
そしてその絵の5つ程隣で、モディリアーニ(1884年-1920年)の「ジャンヌ・エビュテルヌの肖像」に出会った。この絵を知ったのは、中学の美術の教科書。当時ゴッホやピカソの名前は知っていたが、モディリアーニの名前は知らなかった。しかし、有名なゴッホやピカソの絵よりもモディリアーニのこの絵になぜか当時の僕は曳かれた。その絵の本物と初対面。感動。なんとも不思議な構図と色彩とアンバランスな世界感。藤田嗣治の絵と同様に随分と長い間、その絵の前にいた。
偶然だがそんなモディリアーニと藤田嗣治は当時のパリで交友があったことを知った。入口に、ここの美術館の人気ランキングなるものが発表されていたが一番人気はモネの「睡蓮(すいれん)」だった。こういうのは大体有名な絵が上位になる不思議…。僕にはちょっと難しい絵だったが…。
倉敷から再び山陽本線に乗り岡山駅に戻った。岡山もやはり暑かった。喉を潤そうとブラブラしてると駅ビル内にその場で果肉をジュースにして飲ませてくれる果物屋があった。これはいい。せっかくなので、岡山の白桃をジュースにしてもらって飲んだが当然新鮮で美味しかった。
岡山駅前から路面電車に乗り城下駅で降り、そこからテクテク歩いて後楽園へ向かった。後楽園は約14年をかけて当時の備前藩主池田綱政が造らせた(1700年完成)もので金沢の兼六園、水戸の偕楽園と共に日本三名園とも言われている…。なぜこの三つなのかは謎(笑)。7分程歩くと、岡山城の天守閣の真下に出られる道があった。
当時から残る天守閣であれば、ちゃんと中も入りたかったが1965年に再建されたものと知り外から眺めるだけにした。岡山藩主池田氏の歴代の居城で1945年の空襲で残念ながら消失。烏城とも呼ばれるように真っ黒な壁が印象に残ったがやはり本物が見たかった…。
岡山城の周りを流れる旭川に架かる月見橋を渡るとそこは後楽園。シンプルな庭だ。一番の見所は庭越しに見える岡山城のある風景かなぁ…。実際、そう造ったのかもしれない…。しかし、兼六園に行った時も感じたが美しい庭の多い日本において3つを代表とするのは日本三景同様にやはり無理がある。(笑)
岡山駅前のホテルにチェックインし、熱いシャワーを浴びた。9月後半だが、真夏日の旅となり汗だくヘトヘト。熱いシャワーと缶ビールでジワジワと盛り返した。夕暮れ時に向かったのは、岡山駅の西口にある郷土料理の「福寿司」。岡山の代表的な郷土料理と言えばママカリ料理、サワラ料理。それに加えばらずし(祭ずし)なるものがあることを旅前に知った。
それを弁当にした「桃太朗の祭ずし」が、岡山駅で人気らしい。その弁当を食べるのでもよかったが、駅弁は電車の中で食べたほうが美味しいし、ちゃんと作り立てを食べたく福寿司で前もって予約(2,520円)をしておいた。手間がかかるためどの店でも大体予約が必要のようだった。
7時頃に暖簾をくぐると既に多くの客で賑わっていた。カウンター席に座り中ジョッキを半分程流し込むと、大きな皿に豪華に盛られたばらずしが置かれた。うーん、これは贅沢。実に手の込んだ料理で、さっぱりした酢飯に、サワラやママカリ、ハモなどの旬の魚や里芋、生姜、舞茸など40種類近くの具材がそれぞれ丁寧に料理され混ぜ込まれていた。
これは、一人で食べるよりめでたい時に大勢でワイワイ食べる料理のように感じた。料理と一緒に手渡された「備前ばらずしについて」と書かれたチラシを見ながら食べ進むと、ビールの入る隙間がなくなる程満腹になった。ふぅー。
店のチラシによるとばらずしは、明治初期から太平洋戦争前まで備前から西大寺、岡山あたりの一般家庭でよく作られていたもの。しかし手間がかかることや非冷凍魚介類が手に入りにくいなどの問題で一般家庭ではあまり作られなくなってしまったらしい…。
店を出て駅前のネオン街を歩く。すれ違う人の話し声のイントネーションが、広島や我が故郷愛媛の松山にどこか似ており、それがとても懐かしく癒されるのであった。
(07年9月:旅々旅人) |
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