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脇町・うだつの街並み
うだつ上げてねー。  
吉野川と沈下橋
眉山(ロープウェイ)
徳島ラーメン
 1:吉野川と沈下橋
 2:眉山(ロープウェイ)
 3:そば米雑炊・茶里庵
 4:徳島ラーメン・東大
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[アクセス]
高知市内→(車 高知自動車道・徳島自動車道:約1時間30分)→道の駅藍ランドうだつ(駐車場)→(徒歩:約3分)→うだつ通り・茶里庵・川田 光栄堂・オデオン座→(車 徳島自動車道:約1時間)→眉山下→(ロープウェイ:約5分)→眉山頂上
徳島駅前ホテル→(徒歩:約5分)→居酒屋とくさん→(徒歩:約15分)→東大 大道本店
[関連サイト]
■美馬市うだつの街並み
■茶里庵(さりあん)
・美馬市脇町大字脇町132-5・TEL:0883-53-8065
■眉山ロープウェイ
■ホテルサンルート徳島
■居酒屋とくさん
・徳島市寺島本町西1-42・TEL:088-654-1930
■東大 大道本店
[旅行手配内容]
ANA旅割(ANAサイト)・宿泊(1泊・じゃらん):約80,000円
※全費用(家族三人分)
徳島方面の名物

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「うだつ上げてねー!」
声のする方を振り向くと、二人の女性の笑顔があった。つい先程まで郷土料理の「そば米雑炊」を食べていた茶里庵(さりあん)のお二人だ。お別れの挨拶に「うだつ上げてねー!」なんて、言われたのはもちろん初めて。(笑)それがなんだかとても新鮮な響きでその後もしばらく頭の中に残った。

徳島は美馬市(人口約35,000人)にある脇町。立派なうだつの並ぶ通りがあり、江戸や明治を思わせるその街並みは、山田洋次監督の映画「虹をつかむ男」「水戸黄門」などのロケ地にもなった。

うだつ(卯建)は、もともと防火を目的に二階の壁面に造られるものだったが次第に本来の目的から離れ、多額の費用をかけ商家の威勢を競うように造られ、「うだつの上がる、上がらない」という言葉の語源になったと観光パンフレットに書かれていた。うだつはかつての富の象徴でもあったのだ。お城の鯱(しゃちほこ)に近い感覚かしら。

***

高知自動車道高知で用を済ませ、高知市内から高知自動車道、徳島自動車とレンタカーを走らせ約1時間30分程で、そのうだつが並ぶ通りに近い道の駅「藍ランドうだつ」に到着した。藍ランドという名は、かつて江戸から明治にかけ、この町が藍(藍染め)の集散地として栄えたところからきている。始まりは信長、秀吉の家臣であった蜂須賀正勝(通称小六:若き頃の秀吉が最初に仕えた元地侍でもある)の嫡男、蜂須賀家政が1585年に阿波(現徳島)に入国して以来といわれている。

朝の天気予報通り、この日は朝から激しい雨だったが、脇町に着く頃には、次第に雲の隙間に晴れ間が見え始めた。こういう誤報はなんとも嬉しい。

吉野川うだつの並ぶ通りへ行く前に、道を挟んで反対側にある吉野川の土手に上がってみた。そこには雄大な吉野川に素朴な沈下橋が横たわる風景が静かに広がっていた。うつくしい…。妻も嬉し気に眺めていたが、三歳の息子にはこの美しさが全く伝わっていないようだった…。(笑)

土手から歩いて約5分。うだつの並ぶ通りは想像以上に素晴らしかった。よくここまで歴史的な商家が現存しているものだと感動を覚える。最も古い吉田家住宅(藍商)は江戸時代(幕末)に建てられたもの。この辺り一帯は、江戸から明治にかけて藍商・呉服商の商人が栄えた町でその商人達の屋敷がこうして今も尚残っている。しかし中には今にも崩れ落ちそうな強烈な家もあった…。

そば米雑炊その通り沿いにある「茶里庵(さりあん)」という店で徳島の郷土料理「そば米雑炊」を頂いた。豆腐、漬物、飲み物が付いた定食で値段は1,000円。感じがよくお話好きのお店の女性曰く、そば米雑炊は、元々お米の代替料理らしく市内を流れる大きな吉野川が氾濫し、米が不作になった時などにそばの実を米替わりに使い、食べやすく雑炊にしたものらしい。

そんな話を聞いた後なのであまり美味しそうに感じなかったが、これがあっさりしてなかなか美味しかった。出汁はカツオや干し海老、阿波尾鶏からとっているらしく、関西や四国で食べるうどんのおつゆにも近い味わい。そば米と一緒に餅が一つ入っており、そこそこお腹も満たしてくれるが、できればあと一個くらいほしかった。(笑)

「ボク、食べよるん?」
「ボクはいくつなん?どっから来たん?」
女性の店員さんが何度か息子に独特のやわらかい方言で話かけてくれたが、僕が育った愛媛の松山とそっくりの響きで懐かしかった。香川も似ていた記憶がある。四国の方言はやっぱりなんかええなー。

それにしてもこの通りは静か。平日のせいか歩いている人も少なく、軒先にぶら下がった風鈴の音がはっきり聞こえる程、通り一帯がひっそりと静まり返っていた。

眉山脇町を後にし、再び徳島自動車へレンタカーを載せ1時間近く走ると、フロントガラスに徳島を舞台にした映画「眉山(びざん)」で脚光を浴びた眉山(標高約290m)が見えてきた。映画「眉山」の原作はさだまさしさんで、松嶋菜々子さん、大沢たかおさんが主演。いい日本映画は沢山あるけれど、これもまた名作だった。特に宮本信子さんの名演が印象的。

今回の徳島の旅で眉山を選んだのは、実はこの映画がきっかけ。めずらしく夫婦共に感動した映画だった。この映画を観ていなければ阿波踊りの時期(8月12日〜15日)でもないので、鳴門の渦潮でも見に行ってたかなぁ。

眉山頂上付近までは車でも行けるが、せっかくなのでロープウェイ(約6分)で登った。往復一人1,000円もしたが息子(無料)が喜んでいたので良しとした。(笑)紫陽花やラベンダーの姿もちらほらある頂上から、徳島の街と青い海が見えた。ここから見る夜景は間違いなく絶景だと思う。(但し夜間の運行は期間が限られている)
眉山 ロープウェイ 眉山から

「眉(まよ)の如(ごと) 雲居に見ゆる 阿波の山
かけてこぐ舟 泊知らずも」

眉山は「万葉集」において、そう詠まれた山であり、それが名前の元となったと言われている。残念ながら眉のようには見えなかったが…(笑)

徳島駅前高知から移動してきたこともあり、時計を見るともう4時を過ぎていた。観光時間はないに等しく、今宵の宿の徳島駅前の「ホテルサンルート徳島」にチェックインした。ここはビジネスホテルながら温泉の大浴場があり、じゃらんでも評判のホテル。

温泉早速、湯場のある最上階に上がり、横長の快適な浴槽に身を沈める。ふぅー、さいこうの時間…。温泉は少し緑がかった土色でなめるとかなりしょっぱかった。地下から湧き出る天然温泉で泉質は、「高張性弱アルカリ性」と書かれていた。ビールを美味しく飲むために少し狭いがサウナで軽く汗を流した後、さらに温泉でゆたゆたした。

夕暮れ時に暖簾をくぐったのは、徳島駅に近い郷土料理の店「居酒屋とくさん」。店のご主人らしき人が常連客に「とくさん」と何度も呼ばれていたので店の名はご主人の名前らしかった。畳の席に座り、まずは、ジョッキの生をグビグビ流し込む。うまい…。旅先で尚且つ温泉後のビールというのは爆発的にうまい。

ビールと一緒に頂いたのは、郷土料理の「ぼうぜの姿寿司」、「阿波尾鶏の焼き鳥」、「阿波鯛めし」。そして魚好きの子供用に「鉄火巻き」、他にサラダなどを食べたが、最も印象に残ったのは、「阿波鯛めし」。一人前で見た目はいたってシンプルな鯛めしだったが、鯛の切り身をほぐしながら釜でふっくらと炊かれたご飯と混ざて食べると、しっかりした味わいで絶妙に美味しかった。軽く付いたおこげもまたいい。
ぼうぜの姿寿司 阿波尾鳥の焼き鳥 阿波鯛めし

小一時間でさらりと店を出た。妻と息子はそのままホテルに戻ったが、僕はもう一軒。徳島ラーメンの人気店「東大」へ向かった。ところがその途中、いきなりバケツをひっくり返したような大雨に見事に襲われた。ヒェーーー!!!家族と一緒でなくてよかった…。(笑)小さな折り畳み傘でなんと身体を防ぎながらも店に着いたときは濡れ雑巾のようだった。基本的に、晴れ男なんだけどなぁ。(笑)

徳島ラーメン雨のおかげで、不快指数が異常に高い中でも、徳島ラーメン(味玉並:600円)は抜群に旨かった。その濃厚な見た目から和歌山ラーメン(井出商店)に近い味かなと思っていたが、全く違っていた。麺は細めでやや固め。濃い茶色の豚骨醤油スープは、濃厚でまったりしているけど後味が意外とさっぱりしていて驚く。余分な脂を抜いていると書かれていたがその影響だと思う。麺の上にのっかった濃厚な豚バラ肉や半熟の玉子も美味。

またまたうまいラーメンと出会った。徳島への再訪はいつになるか分からないが、その機会があれば是非とも再訪したいお店

店を出て雨が上がった後のしっとり濡れた街を歩く。新町川に反射した街のネオンが映画「眉山」の1シーンのように映った。たしかこの辺り(親水公園)で主演の二人(松嶋菜々子さん、大沢たかおさん)がキスをしたのだが、それは希に見る美しいキスシーンだったことを想いだした。

(08年6月:旅々旅人)

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